自分を思う心、国を思う心
日銀元、前総裁インタビュー *引用のイタリック体も含め、太字、赤字はすべて、筆者によるものです
人の話を聞く、というのは、大切なことであるが、時々、行くなよ、そんな人のとこなんかに行くなよ、と舌打ちしたくなるインタビューがある。早い話、プーチンに、ウクライ侵略の理由を聞きに行くのがバカげたことであるというのは誰にも分る。どうせロシア系住民が虐殺されているだの、NATOに圧迫され、攻め込まれようとしているだの、ありもしないことを言って、自衛の戦いなのだと、正当化するだろう、実際そうしてきた。この8日に民放で放送された日銀・黒田前総裁のインタビューも、途中で、もう打ち切って帰ったら、と溜め息をつきたくなるようなものだった。黒田氏はいかにもリラックスした、功労者インタビューのような余裕の表情を浮かべながらの受け答えであったが、内心は、ガチガチに固めていたことだろう。国民を思い、国の経済を思って低金利策をつづける格好をとりながら、その実、国会でヤジを飛ばす権力者に寄り添いつづけて、歴代最長の2期10年もの間、総裁の椅子を確保されていた。その頃のように、自分への疑念、こころのやましさのようなものは、微塵も見せない。
昔からのことながら、トップ1人の保身のために、膨大な数の人が犠牲にされる事例が、このところ目立ってきたと感じられる。アメリカ、北朝鮮は言うに及ばず、イスラエル・ネタニヤフ首相。ロシアなど、ウクライナ戦での戦死者数、50万人(英情報当局推定)。黒田氏は1億人? いや財布のことだが、氏は在任中にも国民のふところは、物価高に耐えられるという意味のことを言って、撤回に追い込まれた過去がある。今回のインタビューでも、物価が上がっていても賃上げがあり、カバーできていると答えている。自分のやってきたことに間違いはなく、その成果(インフレ)が今出ているのだ、とも聞き取れたので、居直る人、強弁する人には、からきし弱い小心者の手に余ると考え、Google検索(AI)に相談した。私の友人以上に納得のいく対応をしてくれた気がする。要旨次の通り。
- 異次元緩和の負の遺産: 長年続けた大規模な低金利政策が日米の金利差を広げ、現在の歴史的な円安を招いた主因であるという見方は市場の共通認識です。
- 生活実感との乖離: 黒田氏は「賃金が上がってカバーできている」と主張しますが、実質賃金(物価の伸びを差し引いた実質的な給与)は長らくマイナス圏が続き、生活は苦しくなっているのが国民の実感です。
- 自己正当化への疑念: 「1.5%まで利上げしてよい」「経済は順調」と発言することは、自らが進めた政策の正当性を強調したいがために、国民の負担(物価高)を過小評価しているのではないか、という強い批判を呼んでいます。
問題が起こっても、理論武装した政治家へのインタビューが何ももたらさないように、何一つ本当のことが明かされることはない。学べるのは、政治力という才能くらいなものか。そんな前総裁の後で、すぐ翌日の朝には、今度はNHKで元総裁・白川方明氏のインタビューを聞くことになった。

ああ、やはりと感じて聞く言葉が多かったのだが、「株価は企業収益がよくなるかもしれないという期待であっても、経済全体がよくなるかどうかというのは別物だ」という指摘など、株高に浮かれる(崩れつつあるが)投資家や経済界へのたしなめと聞くべきだろう。そしてやはり、デフレ退治だけに過度に焦点を合わせた金融政策をやっていると、副作用も大きいという指摘、また「この30年間、ずっと実質実効為替レートが円安になってきていることを、非常に重く受け止める必要があると思う」という警告こそを重視すべきと感じた。それと関連して、日銀が大規模な金融緩和を行ったことで構造的な問題に取り組む社会のエネルギーがなくなってしまったと分析し、金融緩和の最大の副作用として「本質的な問題に取り組むのが遅れてしまった」という点を我々は忘れてはいけないと強く思った。
そして、私としてこのインタビューで、通貨の番人を経験された、至上の専門家でもそう思われるか、素人考えも間違いばかりではなかった、と狂喜したくなる場面がくる。今の、諸国に比しソラ恐ろしい程に国債発行額が膨らんだ財政悪化に触れ、こういう状態で重大な災害、南海トラフ地震とかを迎えた時にどうなるか、国として立ちいかなくなるような事態に陥るのではないかと危惧していると述べたのだった。
当ブログをよく見てくださっている方ならすぐに思い出されるであろうが、このカテゴリー中の「津波対策ビルの漂流」の末尾のところで、こう書いている。
この災害大国の財政、元々放漫財政の上、37超円もの復興費もあって、いよいよ悪化が進んでいますが、やはり、というべきかついに深刻な事態(国債暴落から経済破綻*)につながり、挙句激甚災害(南海トラフ地震。政府の被害額想定、最大で220兆円)に見舞われたとなると、国家破綻、外国からのお情け(援助)によって復興なんてことになりかねないからです。
太平洋戦争に次ぐ第二の亡国を招かないよう、根本的解決にはどうするべきか、覚悟して考えるべき時に来ていると思わない訳には行きません。
今回のNHK・朝のニュース枠での放送。インタビューを観たMC二人が言っていたのは、中央銀行の政治権力からの独立性についての元総裁の解説の分り易さ。白川氏は、目覚まし時計を例に出し、誰しも目覚まし時計を、その時は、うるさいとか、なければいいのに思ったりはするが、決して捨てたりはしないという譬えで、中央銀行の存在意義、それゆえの独立の必要性を解き明かしてみせたのだった。これ以上見事な説明があるだろうか。
卓抜な説明はともかく、最高の専門家と、先にさせていただいた。だが氏について書かれたものに、ざっと目を通していっただけでも、専門家の間での評価(批判もあるが)とは裏腹に、正論とも思える年来の主張が国の施策に全く反映されず、もどかしい思いであろうことが、読み取れる。津波対策でもそうだが、実の上がらない前例踏襲のやり方から転換し、新機軸を導入して国民の幸福、安全を図っていこうというのをしたがらない。リスクを取りたくない(頭を使いたくない)、というのか。そんな調子で成果の上がらぬ予算配分を繰り返し、債務危機という重大リスクをズルズルと引き摺りつづける日本経済。その行く末を案じ、大規模予想の災害に危機感を募らせておられることが、今度のインタビューでも示された。明らかに黒田氏の進めたことと正反対の立場であり、元総裁の白川氏のやったことをデフレを悪化させ、円高を招いたと批判する人も存在するのであるが、以下、白川方明氏の実像をAI(Google検索)他の助けを借りながら探り、読者の判断に供したい。
白川方明(しらかわまさあき) 北九州市小倉北区出身。東京大学卒、シカゴ大学大学院修了。1972年日本銀行入行、2002年日本銀行理事。2006年京都大学教授。2008年3月20日、日本銀行副総裁(総裁代行)、4月9日日本銀行総裁。在任中、リーマンショック、東日本大震災、欧州債務危機などに対処。2013年3月19日、4月8日の総裁任期の5年満了を待たずして辞職]。
年来の主張
構造改革の必要性: 日本が直面している低成長の根本原因は人口減少や高齢化などの構造的な課題であり、これらには成長戦略や生産性向上といった別の政策が必要であるとしています。
金融緩和の限界と副作用: 金融緩和は経済の調整弁に過ぎず、長期間にわたる過度な金融緩和やゼロ金利政策は、かえって企業の新陳代謝を妨げ、生産性の向上に悪影響を及ぼすと指摘しています。
中央銀行の独立性と役割: 中央銀行の本来の役割は政治的な圧力に屈せず「物価の安定」を守ることであり、政府の財政赤字をファイナンス(穴埋め)するような役割を担うべきではないという立場をとっています。
批判と反論(2018年10月22日 18時21分 J-CASTニュースから)
白川総裁に対しては、デフレを退治するどころか、悪化させ、円高を招いた、という執拗な批判があった。2018年10月22日、総裁を辞任してから初めてとなる記者会見を日本記者クラブで開き、批判の内容を「日本経済の根源的な原因はデフレであり、それは貨幣的現象だから、日銀の大胆な金融緩和政策によって脱却できる。日銀は物価目標を掲げ、達成を約束すべきだが、それをしていない」というものだったと総括。2012年12月の総選挙で民主党から政権を奪還した安倍晋三・自民党総裁がこうした主張を掲げて、圧倒的な国民の指示を得たことにも触れた。こうした日銀批判に対して、白川氏は「日本経済の根源的な原因はデフレではないと思っていた」と反論。そのうえで「急速な高齢化や人口減少に適合していないことが大きな原因」と述べ、社会保障を含めた財政の持続可能性の方が重要だという考えを示した。
著書評価(GoogleAIによる概要)
1.『現代の金融政策: 理論と実際』(2008年、日本経済新聞社)総裁就任直前に出版されたもので、金融政策の理論的枠組みと中央銀行の実務について体系的にまとめられた名著です。実務家ならではの視点が盛り込まれており、経済学を学ぶ学生や実務家から高く評価されています。
2. 『中央銀行: セントラルバンカーの経験した39年』(2018年、東洋経済新報社)日銀マンとして39年間を過ごし、リーマンショックや東日本大震災の最中に総裁を務めた激動の日々を振り返る回顧録。経済政策の裏側や直面した苦悩、中央銀行のあり方が理論と歴史を交えて詳細に語られており、専門家やエコノミストから極めて高い評価を受けています。
3. 『通貨に信用を刻印する セントラルバンカーの10の提言』(2026年、日本経済新聞出版)激変する世界経済の中で通貨の「信用」を保つために必要な中央銀行の役割を、理論と歴史から解き明かした一冊。著者の深い洞察に基づく「10の提言」がまとめられており、今後の日本経済のあり方を考える上で必読の書となっています。
私見(個人的暴論?)
白川方明氏の強みは、上記の著書評価にも現れているように、学者、研究者として金融政策について深い考察、理論を極めていると同時に、日銀マン、日銀総裁として、金融政策の舵取り、要の位置に立ち、実際の現場の難しさ、苦悩を知るという両立性にあることは、明らかです。金融政策にうるさい学者など、それこそ、ごまんといる。実際の現場を知る人も少なからずいる。しかし、両方に通じる、それもトップクラスで、という人は、極めて稀だと思われます。それだけに今後の日本の為に発言していることは傾聴に値すると考えた方が良く、これが文中でも触れたように、この物価高に苦しむ人がいる一方、株高に浮かれる日本で、なかなか政策に反映されていってない。良薬、口に苦し、という格言が、これほど当てはまる状況もないと思われる。これからの日本で、まさに氏が警告を発した通りのことが、起こらねば良いがと、祈るばかりです。
暴論ではない・・・AIは、ごますり?
さすがに「暴論」でしめくくっては読者に申し訳ない、と気が咎め、最後にまたGoogleAIに相談してみた。すなわち、白川氏が両方に通じる人であるかどうか、それでどうなのか、という点。以下、その答え(結論の部分)。
第30代日本銀行総裁を務めた白川方明(しらかわ まさあき)氏は、まさに「理論家であると同時にプレーヤー(実務家)」という表現が完璧に当てはまる人物です。
白川氏は後年のインタビューで、「主流派マクロ経済学の教科書(理論)には、現場の債務の積み上がりや金融危機のリアル(実務)という重要な章が欠落している」といった趣旨の発言をしています。 [1]
机上の経済理論(マネーを増やせば景気が良くなる、など)をそのまま現場に適用するのではなく、「市場や決済システムが現場でどう動いているか」というプレーヤーの視点を常に持っていたからこそ、中央銀行の独立性を守り、危機時にも日本の金融システムを崩壊させずに守り抜くことができました。 [1, 2, 3]
まさに「理論(学問)」と「実践(中央銀行実務)」の双方において、日本最高峰の足跡を残した人物と言えます。
