2025年度愚手烈語大賞 

 「需要に応じた生産」(農水相)

愚手烈……奇天烈から生まれた新語で、凄まじい迄に愚かな手段を指す

この度、新たに設けられることになった愚手烈語大賞。かの流行語大賞以上に現代日本の世相を鋭く捉える大賞の第一回は、トロッポ通信編集部での厳重かつ公正な審査の結果、食料自給率100%を掲げる高市内閣・農水相の「需要に応じた生産」に決定しました。

喜びのお二人?

   【画像】「米価と洋服は同じ」鈴木農水大臣の発言を食料安全保障の専門家が痛烈批判…「米の備蓄は国防費と同じ」:出典@nifty ニュース  https://news.nifty.com/article/domestic/society/12268-4664808/photo           

    

【授賞理由】

 「需要に応じた生産」という文句を聞いて、いかにも理屈に合った、もっともらしい言葉と感じる一方で、何か変な、気持ちがモゾモゾするような具合悪さに捉えられませんでしょうか。それは、需要という、本来、変動してやまない、また「需要喚起」という言葉があるように、やり方次第で大幅に増やすこともできないことはないものを、動いてもごくわずか、いやもう増えないに決まっているもののように貶めての文句になっているからではないでしょうか。

 意外と思われようと、米づくり農家も、農協も、ついでに言えば農水省も、消費者に少しでも多くお米を買って貰い、利益が上がり、生産が持続して行けるよう常に努力を怠らないようにしなければならないという意味では、一般企業とそう違ったものではありません。                             

 そこで例えですが、あるじり貧収益の食品会社が冷凍食品で新製品を出し、これで会社の起死回生を図りたいとなった時、生産(出荷)目標を、需要に応じただけ、とするような、全く受け身の、呑気で緩み切った方針を出してくるでしょうか。ここはどうあっても特色を出すと共に、原料調達から生産までの創意工夫で競争力ある低価格を実現、月産なん万個とか、ぶち上げなければならないところ。そして、テレビCMとか、店頭での試食会など、あらゆる手段を駆使して、必死で需要喚起に努めなければならない。ジッと大人しくしていて、それで買い注文が来ただけ売って済ませればいい、なんて決して考えない筈です。

 或いはひょっとして金融会社でもあるこの会社の社長の多角経営方針が災いして、薄利多売で売れないではリスクが高いと、並の価格でいくのだ、とするかもしれない。すると社員は初め、販売促進、販路開拓に精出すものの、やがて高値が響いて限界を悟り、ついには在庫が膨らむのを恐れ、小売店からの注文に応じての、生産、出荷とする他ないということになる。その需要動向としては、価格は赤字を恐れて頑固に据え置くものだから、慢性的にじり貧傾向をたどり、生産減に次ぐ生産減を強いられ、ついにはゼロ、会社消滅は避けられず、という悲しむべき事態に立ち至ることは必定だろうと思うのです。 

 これから日本農業、コメ作りの消滅につながる道に、再び自ら迷い込みたいという、この度またまた登場の決まり文句「需要に応じた生産」に、栄えある第一回愚手烈語大賞を授賞する所以であります。

【解説】

 石破政権びいきの方にとって残念だったのは、政権交代となったこと以上に、農水大臣の交代ではなかったでしょうか。いや、石破氏への好き嫌い関係なし。すべてのニホン国民にとって、増産にかじを切り、お米の値段を買いやすい水準に安定させることを目指した小泉農相の退出は惜しまれる、どうして! と叫びたくなる。

 なんで防衛相など拝命しないで、「私は一貫して農政改革を目指してきた者、ここで代わるは断腸の思い、どうかもうしばらくここにとどまらせていただきたい、高市姉御!」と啖呵を切れなかったのか。小泉氏の農政改革への本気度が疑われます。

 代わって登場した鈴木憲和大臣。その緩み切った顔つきを見て、この人が東大法学部卒と想像出来た人は、皆無ではなかったでしょうか。いや世の中には、東大なんて、という見方もないことはありませんが、東大にはとんと縁がない私でも東大は大事に思いたい。

 それでもう全国民同様、このゆる顔の大臣に期待などある筈もなかったのですが、よくもよくも次々言ってのける。

 曰く「農水省はお米の価格にコミットしない(上げる方には、減反強化で大いに関与するが、引き下げる方は何もしない、今の高値を放置し、ムザムザ低所得者がお米やめて、麺類、パンに走るのを見過ごす。)」

 そして「米価は洋服と同じ」ともおっしゃったとか。・・・ああ、やはりと言うべきか、他愛もなく幼稚園児並みの頭を露呈ですが、そうであれば第一回愚手烈語大賞に輝くのも当然の成り行きであったか。もっともこれは、生産調整(減反)という誰でも思いつく安易極まりない価格維持手段を覆い隠す決まり文句として言い古されてきたもので、今更驚くものではありませんが、増産にカジを切ったと、望ましい転換にホッとしていた後だけに、失望は大きい。更に驚く、と言うか、呆然とするのは、この長年に亙る農業衰退の悪方針を、法制化するのだという。トランプ大統領をいただくアメリカ国民に同情してるヒマなどありません。ついでに米国にひっかけて言えば、禁酒法並みの悪法を目指すおつもりらしい。 

 そのくせ不思議なのは、大臣がこの需要発言の真意を問われて、需要は増やしていきたいと述べられた。えっ、本気なの! と仰天の他はありません。それなら全国民を巻き込んで、もうみんな、主食米始め、国産米が食べたくなるよう、利用したくなるよう、値段を手ごろなところに持ってゆき、酒醸造家や外食産業からも注文がくるようにしなければならない。ことが、値段次第であるのは、余りにも明白。なのに、価格を下げる方の手は打たないでいて、全くあり得ない矛盾したことを言うというのは、もし正気でおっしゃっておられるのなら、陰で強引に利益誘導したい勢力を抱えておられる、ひょっとして大臣の椅子と引き換えに操られておいでになるのではと疑う他はありません。もしそうでない、自らの信念に基づくというのならもっと深刻、こじれ切った農政をますます混乱させ、瑞穂の国の米づくりを終には、絶滅危惧ㇸと追いやる、ネジが一つどころか、幾つも外れた知性の持ち主だと断ずる他はなく、ここは自ら悟ってご退出いただくのが、日本の為、お米を愛する日本国民の為になる唯一の道ではないでしょうか。

<参考>

コメ高騰問題 古市憲寿氏「噓というかぎまんというか、ずるい発言」鈴木農相の「価格はマーケットで」発言を一刀両断      サンスポ2025/11/09 12:46

●東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授の鈴木宣弘 「このまま米価が下がらなければ、さらに米離れが進むだけでなく、いま輸入を増やしているアメリカ産米へとニーズがシフトしていくでしょう。すると、ますます日本の米農家は衰退していきます。つまり、高市首相が掲げる「食料自給率100%」からは、ほど遠い状況に……。」                女性自身 2025年11月07日17時30分

コメ民間輸入104倍 1~11月 関税込みでも割安             生産抑制続ける農政 矛盾          日本経済新聞2025年12月26日

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