「バカってなによ」⑵
えーっ、これ!? 私は危うく呻きそうになります。私がひそかに期待し、思い描いていたのは、くすみに阻まれながらも覗いていた彼女の美点を活かすことを主に、それを巧みに演出してみせたような、上品で、個性の感じられるお顔でしたから。 あ~!
次の回もでした。
次第に私は、どうしていつも鋳型にはめこまれて出てきたみたいに、どぎつい性的魅力が売り物のホステスばかりが出来上がってしまうんだと、疑問を覚えるようになります。
やはり肝心なのは、ファッションやヘアースタイルより顔、メーキャップがどうされていたか。確かに、小じわが多いとか、色々あれば、ジレンマもあっただろうとは思いますが、それにしても、過剰になっていたのでは。プロの心理を推し量るに、「超一流」を代表して出てきている以上、プロらしいテクニックを披露せずには帰れない。プロの間で「神業」とか、「天才的」と称賛されている技術を、どうして隠しておけようか。
ただです、プロ同士だから分る「神業」を披露されても、そんなことは知らない一般人から見て、元美女が家庭や街からかけ離れて、夜のネオンの世界に舞い上がったように感じられるなら、それはやはり華々しい失敗作となるのではないでしょうか。
そうしたプロ故に起こり易い、思い込みからくる勘違いのようなものを、私は自分に納得させる意味で、「プロのバカ」と称することにしたのでした。
その後、徒に齢を重ねる中にも、こういうことは美容関係の業界に限らない、世に広く見られることでないかと思うようになったわけです。どうしてだろう?
幾らか勉強もして分かってきたこと。第一にはやはりその世界でトップと言われる辺りに来てしまうと、視野が狭くなるものだということ。成功の怖さで、自分のやり方こそが唯一無二のものの如く映ってき、突き進んでしまう。もう一般の人のくもりのない目で見て、素直には喜べないような、なんだかあざと過ぎるようなものが出来上がってしまう。
この辺の事情を巧みに、というより、すっぱりと解いてみせる言葉に出会いました。桂文珍さん。書道家武田双雲さんのブログに、対談での発言として出てきます。
「業界というのはね、やたらと漬け物をつけすぎる。客はしょっぱくて食べれやしないんだよ」
これから、その世界のことは、深くは知らない者、つまり業界人ではない者から見ておかしいと感じることを、素人考え! と、嘲笑の矢が、ビュウビュウ飛んでくるのも覚悟で、載せてゆこうとというのが、当コラム、なのです。そう言えば、既に発表の「防災意識革命」も、そうしたものでした。その諸篇共々、「プロのバカ」も是非、応援いただきたいと思います。